Ena

岐阜県恵那市

会場には、地元恵那市の人を中心に、医療介護の専門職、認知症と共に歩む本人、家族、NPOのまちづくり団体に所属する人など約50人が参加しました。

 

恵那市はこれまでに4回のRUN伴、RUN伴PLUSを開催しています。

はじめに、恵那市がRUN伴をはじめたきっかけとなった、富士宮市在住の夏目佳明さんの「ふるさとで走りたい」という言葉のために、帰郷される夏目さんの同級生探しに走った地域住民のエピソード、スローガン「認知症明日へのリレー 一人ひとりの物語りが地域を動かす」を通じて、えなRUN伴PLUSなどを通じてひとつひとつのストーリーを、たくさんの人達で共有していきたいというこの企画の狙いについて説明がありました。

 


続いて、大牟田市の取組みから、「認知症当事者の課題解決のフェーズ」、「認知症まちづくりの仲間を広げるフェーズ」を学び、また恵那市のこれまでの軌跡を振り返りながら、参加者で対話の場をもちました。

「私たちの課題は、地道な活動によって多様な繋がりは深まっているけれども、まだまだその連携を生かし切れていないのでは?どうしたらそのつながりを一人ひとりにむけられるの?」という問いに対して、「RUN伴を通じて色々な人たちに出会えた。もっとできることをしていきたい」「一人暮らしの認知症の人が病院から自宅に帰るにあたって民生委員からそのまま施設に入ったほうが本人にとって幸せでは?と反対を受けた」という意見から「その言葉はこれからを考える上でチャンスだよね、がんばろう!」いった反応もあり、「実は一人ひとりに対して色々な場面でみんな向かい合っていて、いろいろなグッドストーリーが生まれている。でもそれをみんなで十分に共有しきれていないってことではないか」という意見がでました。

 

 

今回のワークショップでは、それぞれのストーリーを共有しあう具体的な方法についてアイデアを生み出すまでには至りませんでしたが、地域に「認知症」の人が住んでいるという考え方ではなく、同じ地域の人達がそれぞれにある「ひとりひとりの困りごと」を共有し、共に歩もう!という意識を生み出すきっかけの時間となりました。


私から見たこのまち

足立哲也さん

恵那市役所医療福祉部 恵那市地域包括支援センター主査

認知症地域支援推進員

 

RUN伴や、認知症カフェの開催を通じて、医療や福祉の専門職だけでなく、認知症の人のくらしを形づくる様々な立場の人達が出会う場所をつくり、一人ひとりをつないで自分たちでできることを一緒に考え、自分たちのまちをデザインできるように働きかけている。

よいところ

恵那市の医療や福祉の専門職の皆さんは、以前から、交流会などを通じて自ら連携関係を構築されていました。市立病院で行われていた連携連絡会は、合宿などを通じて、自らがどんなまちで暮らしていきたいのかというワクワクした気持ちを持ってアイデアを出し合って様々な社会資源を生み出した経緯があります。出会いとつながりを深めていく中で、その輪はどんどんと広がり、町の商店街の人達や、民間企業、図書館、まちづくりに従事している人が単なるお客さんではなく一緒に考えようと動き始めています。「やりたい」を応援したい!という想いがどんどんと広がってきていることを実感しています。

 

課題

今回のワークショップでの問いでも挙げましたが、イベントを通じて多様な立場の人達が繋がってみんなで盛り上げようとする気運が高まっていることを強く実感しています。

恵那市はとくに仲間を広げるステップからすすめてきた面が強いです。そこから作り上げた社会資源から、認知症と共に歩む本人さんとの出会いが生まれ、ストーリーの共有がすすみつつあります。

課題を挙げるならば、まだまだ対話の場が苦手だとなかなか参加を躊躇される方もみえるので、認知症についてまだ考える機会が浅い人たち、縁のない人たちを新しいステークホルダーとしてうまく仲間として広げていって、可能性をもっともっと広げていけたらと考えています。

 

次のステップ

今回のワークショップを通じて、町の商店街の人達や民間企業の方達の繋がりの中で、一方的にお願いごとばかりを求めていくのではなく、出会った人達が思っているひとつひとつの困りごとなども共有して、一緒に考え、お互いの困りごとやもったいないと思っていることをつないで新しいアクションを生み出していく可能性を感じました。これからも認知症の人の生活を形づくる様々な立場の人達との対話の場を設定して、一緒に自分達のまちについて考えていけるように働きかけていきたいです。



わたしから見たこのまち

栗田一夫さん

国民健康保険上矢作病院 ソーシャルワーカ- 

えなRUN伴PLUS実行委員会

認知症まちづくりファシリテーター

病院を拠点に、恵那市の中でも特に高齢化率が高い上矢作町(高齢化率44%)で、活動をしている。認知症の方の生活の困り事を入り口に、住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくりに取り組む。

よいところ

医療福祉の事業所の理解があるところが多く、一緒にRUN伴や認知症カフェを運営するなど、チームで認知症まちづくりに取り組んでいる。運営メンバーのそれぞれの立場やネットワークを活かし、「やりたいを応援!」&「ワクワク感」を大切にしながら取り組んでいます。

またこの1年で、認知症の人やその後家族、そしてその方々の暮らしを形づくるさまざまな立場の方とのつながりが大きく飛躍しました。

運営メンバー、一人一人の丁寧な声かけから生まれ、信頼関係構築に繋がっている。

 

課題

認知症にやさしいまちづくりを進める中で、今年のRUN伴への参加やゴールイベントでの出店をとおして、多様なセクターの方に活動を知ってもらう事が出来、私たちと緩くではあるが、繋がることができました。このつながりを、どうやって活かすか、それが恵那の課題だと考えています。

 

次のステップ

今回のフォーラムをとおして、認知症まちづくりファシリテーターで習った3つのステップを意識して活動していくことで、直近の課題や今後の目標など、自分のまちを客観的に評価することの大切さを再認識できました。

恵那では、第2ステップである認知症当事者の生活課題に耳を傾け、その課題解決に取り組む事が次のステップだと思います。

その課題解決には、どんな人とたちと取り組む必要があるのか、そこにフォーカスをあて、今ある多様なつながりの中から必要な方をチョイスし、一緒に取り組みます。

こういった具体的なエピソードをとおして、関わりが生まれてくると、今、ボンヤリと繋がっている多様な方との関わりに深みが出てくると感じています。そして、この積み重ねが認知症になっても安心して暮らせるまちづくりにつながると感じています。

また、ボランタリーな関係では無く、持続可能な形としてヒト、モノ、カネを動かす視点から、「困り事」と「もったいないこと」を、どうコラボして、WinWinの関係を生み出せるか、次のステップとして取り組みたいです。

まずは、これまでの活動の中で、みんなで共有出来ていないエピソード(良いモノも悪いモノも)を共有していく事から始めたいと思います。