Nishi-Harima

兵庫県西播磨地区

 

西播磨地区では、会場のある相生市を中心に、たつの市、赤穂市、佐用町などから約30名が参加しました。医療介護の専門職の他、一般企業に勤める人、スーパーマーケットの店長など参加しました。

 

認知症の人にやさしいまちづくりの国内外の事例として、英国の認知症アクションアラインアンスや、東京都町田市で認知症の本人、家族や一般企業なども一緒になりビジョンを作り上げたプロセスなどについて学んだ後、グループに分かれ、印象に残ったこと、これからのまちづくりに必要なことやアイデアなどについて対話をしました。

 


 参加者からは、RUN伴というイベント通じて、徐々にいろいろなセクターの人が関わるになってきているが、その後の具体的なアクションにはなかなか結びつかないという話が出ました。

 

ぼんやりとしている目的やゴールを、町田市のようにビジョンを共有するために、目指すことを言葉にすることが大事ではないかという意見や、スーパーや商店街などでも認知症サポーター講座は実施してきたが、それぞれの店や人が、具体的に認知症の人の暮らしについて何ができるかをもっと考えていきたいという意見などが出ました。


私からみたこのまち(西播磨)

丸尾とし子さん

NPO法人播磨オレンジパートナー代表

認知症フレンドシップクラブ西播磨事務局代表

 

結婚を機に日本語教師を辞め、11年前に横浜から兵庫県たつの市へ移住。デイサービス職員になるも、高齢化率の高さに驚きフィールドを「地域」に移して活動を始める。

認知症になる前からの人間関係の維持や暮らしの連続性を重視し、認知症の啓発活動、介護保険に至らない軽度の認知症の方、若年性認知症の方が集える場の提供、認知症の人を支える人材の育成事業などを行っている。

 

 

よいところ

西播磨は、兵庫県の南西部地域にある7つの市町のことを指しますが、住民の通勤・通学圏であり、また行楽や行事等のため人々が日常的に行き来している圏域でもあります。各市町にはそれぞれ特徴もありますが、人々はその違いを認め合い、兄弟のような親密感をもっているところがとてもいいところだと思っています。

 

課題

人々にとって西播磨が生活圏域であるにもかかわらず、認知症に関する施策が行政中心、市町単位で行われているため、認知症カフェや認知症サポーター養成などが、どうしても市町の中での取り組みで終わってしまうように感じています。が、この地域の方々が、認知症になっても自分らしく、安心して暮らしていくためには、生活圏域である西播磨全体での取り組みや連携・協力できるネットワークづくりが必要ではないかと思います。

 

次のステップ

今回のラブワゴンで感じたことは、認知症にやさしいまちづくりに興味のある有志たちが出会い、想いや情報を共有する場がまだまだ不足しているということです。医療や介護の専門職のみならず、私たちが暮らしていくのに不可欠な様々な領域にいる人々も参加しやすい場をつくり、「認知症にやさしい〇〇」をともに考える機会を設けていきたいと思います。

 



私から見たこのまち(相生市)

渡部政弘さん

さくらホーム おおの家 理学療法士

相生市医療介護ネットワーク「ええで!あいおい」代表

 

昨年のラン伴への参加をきっかけに医療や介護の専門職が集まるネットワークを立ち上げ、定期的にグループワークや勉強会を開催し、認知症になっても優しいまちを目指して活動をしている。認知症まちづくりファシリテーター講座2期生。

 

 

よいところ

RUN伴を通じて行政や地域包括、社協、その他様々な職種が集まるネットワークが出来、定期的にグループワークや勉強会をし、情報交換を行っています。学校教育の中に誰にでも優しい福祉の街づくりに関するカリキュラムが盛り込まれており、授業の中で福祉施設と交流をする機会も設けています。様々な職場や地縁組織、学校で認知症サポーター養成講座が行われており、たくさんのサポーターが養成されています。

 

課題

医療や介護の専門職ですら、今働いている、今住んでいる地域のことをジブンゴトとして捕らえられていない現状で、共有するにあたり、医療や介護の専門職が中心になっており、もっと様々なセクターやネットワークと共動していく必要があると感じています。

また、教育カリキュラムも、医療や介護のネットワークと同様に『誰にでも優しい街を創造する』という同じ方向を向いていながらも、学校の先生だけ考える範囲で授業が行われているところが勿体ないと考えています。認知症サポーターに関しても、人数は多いがどうすれば良いのか、何が出来るのか、の点で悩んでいるサポーターも多く、実際の活動にまで至っていないのでが現状です。

 

次のステップ

医療や介護の専門職が地域住民を巻き込むのではなく、地域住民に巻き込まれる専門職になる必要があると思っています。今回のラブワゴンを通じて、自分たちが今考えていることは、誰に対して、どういう影響があることなのか、対象をどこにして、どういったことを具体化するにはどのセクターと共動すればよいのか、具体的に考えていく必要があると思いました。

また、様々なセクターや学校教育に関して、まず現状を確認することから始め、その中に関わっていけそうなポイントがあれば、提案を行い、共動出来るポイントを探していこうと思います。

認知症サポーターに関しては、今後も交流会を重ねて、認知症になっても優しい街を相生市~西播磨全体で出来ることを共有、具体化していきたいです。